Amazon販売コンサルタントの山里です。
クライアント様から頂く質問の中でも、
「スポンサー広告では、ACOSは何%を目指すべきですか?」
「ROASはどれくらいの数字を目標とすべきでしょうか?」
といったご質問は、トップクラスに多いです。
ACOSとは、「広告費÷売上高」で求められる指標で、たとえば500円の広告費で2500円の商品を売った場合、
500 ÷ 2500 =0.2
となるため、この場合のACOSは「20%」になります。
ROASとは、「売上高÷広告費」で求められる指標で、同じく500円の広告費で2500円の商品を売った場合、
2500 ÷ 500 = 5
となるため、この場合ROASは「5」となるわけです。
そんなACOSおよびROASですが、
「どのくらいの数値を目安(目標)にするのが正しいのか?」
ということが、今回のテーマとなります。
では答えから言いましょう。
この答えは、
「ケースバイケース」
となります。
はい、以上です・・・
とこのまま終わってしまっても身も蓋もないので、今からに詳しく説明していきますが、ただやはり「ケースバイケース」なのは事実なので、「何%にすべき!」みたいな明確な数字目標を断言することはできません。
その商品の原価であったり、あなたの会社の資金力であったり、そのブランドが成長期にあるのか、成熟期にあるのか。
そういった要素によって目標は変わってくるものだということです。
Amazon広告におけるACOS(ROAS)の目安や目標はケースバイケースである。
なぜケースバイケースかというと、まず大きいのは、「商品原価」という存在です。
たとえば、ACOSが「50%」だった場合、売上の半分が広告費ということになりますよね。
ここでもし商品の原価率が50%を超えていた場合、ACOSが50%(広告費に50%かかっている)ですから「赤字」ということになるわけですが、原価率が仮に10%であれば、利益(正確には粗利)がしっかり出る計算になります。
つまり、商品原価次第で、ふさわしいACOS(ROAS)の数字は変わってくるわけです。
原価率が低いなら多少は広告にお金をかけても利益が出るため、ACOSが高めでも問題にならないことも多いですが、原価率が高いなら、ACOSが高くなるほど赤字のリスクが伴います。
まあ、そんなのはあえて言うまでもないことかもしれませんが、まず商品原価というものがそれぞれ違うわけですから、そういう前提条件がそれぞれ違う以上、適切なACOSが何%になるのかというのは、ケースバイケースになってくるわけです。
また、たとえ原価率が30%という前提条件が決まっていたとしても、適切なACOS(ROAS)はやはりケースバイケースになってしまいます。
すごく単純計算ですが、原価率が30%の場合、ACOSを70%以下に抑えると利益が出るということになります。(原価以外にかかる人件費などの変動費は一旦抜きにして考えます。)
しかし、その場合でも、ACOSを70%以下にすることが正解かと問われると、そうでもない場合もあるのです。
原価率が30%で、ACOSが80%だった場合、普通に考えると赤字になるわけですが、意図的にその選択をする方が正しいというケースもあります。
どういうことかというと、原価率が30%で、ACOSが80%だった場合、商品が売れるたびに赤字が積み重なっていくわけですが、Amazonのシステム上、商品が売れるほど、「Amazon内の検索順位」が上がりやすくなります。
つまり、Amazon内のSEOが強くなっていくわけですね。
たとえば、
「スマホカバー 頑丈」
というキーワードでスポンサー広告を出稿し、その広告経由で購入が発生したとします。
そういうアクションが積み上げられていくと、その商品は「スマホカバー 頑丈」というキーワードで検索した際に上位に表示されやすくなっていきます。
つまり、広告を出さなくても売れるようになっていくということです。
したがって、検索で上位に表示したいキーワードがあるのであれば、そのキーワードの入札価格を高めに設定し、たとえ一時的にはACOSやROASが高騰したとしても、それによって検索順位を高めて、長期的な視点でその赤字を取り戻していくという考え方もできます。
ゆえに、資金力に余裕があるのであれば、ACOSやROASが高騰して、最悪は赤字になってしまっても問題はないと考えることもできます。
もちろん、赤字にならないのが理想ではありますが、たとえ赤字になっても、それによって検索順位が上がり売上がアップするのであれば、将来的には過去の赤字は取り戻すことができるのです。
そのため、「投資」という大義名分のもと、あえてACOSやROASの数字を度外視して、とにかく商品の売上を伸ばすという戦略もあるにはあります。
そういうパワープレイで成功しているケースも普通にありますので。
ただ、やはり資金力が限られた企業さんの場合は、なかなかそういうパワープレイに踏み切れないでしょうから、
「赤字にならないギリギリのライン」
をACOS(ROAS)の上限目標とし、そのギリギリのラインまでは広告費の予算を高めていくという考え方で問題ないと思います。
赤字にならないギリギリのラインのACOS(ROAS)で商品が売れた場合、赤字にもならないけれど黒字にもならない、いわゆる利益トントンの状態になるわけですが、前述したように、商品が売れるほど検索順位は高まるわけですから、その売上は決して無駄にはなりません。
検索順位のアップに寄与すると考えられるため、利益トントンの売上が発生したとしても、それは十分にプラスになると考えることができるはずです。
とはいえ、そうは言っても、弊社自身のアカウントや弊社のクライアント様の状況を拝見していると、ACOSの場合は40%を超えていると、ちょっと高いかなという印象です。
もちろん、ACOSが40%でも、原価が10%であれば、十分に利益は出ている計算にはなりますが、それでもACOSが40%を超えている場合、少し警戒した方が良いでしょう。
売上につながらないキーワードをネガティブターゲティングしたり、あまり売れないキーワードの入札単価を下げてみたりと、やるべきことは沢山ありますし、そのやるべきことをまずしっかりとやって、40%以下にしていくことが大事です。
ただ、前述した、「検索順位を高めるための将来への投資」という観点で、割り切って広告費予算を高めた上での40%越えであれば問題はないのですが、そうではなく、「今この瞬間の利益を出していく」ということを目標にしているにもかかわらず、ACOSが40%を超えているのであれば、見直しをする余地は大いにあるということです。
以上、参考にしてみてください。
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